MITOMO STUDIO SHIBUYA、 KUMO 3232-12G で 8K 編集スタジオへアップデート

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AJA KUMO 3232-12G 導入事例

導入先

三友株式会社は TV放送・映像配信・映像活用の発展への原動力をもたらす映像業界の旗手である。テレビ放送分野における映像、報道分野における写真映像、専門店における写真映像といった３分野のマーケットへ主導的に営業展開を行っており、放送機材や資材を供給し支えとなる後方支援を継続的に行っている。

同社は 1980年にポストプロダクション部門を開設。様々なジャンルの編集MA作業を行っている。長年培われた映像制作技術の経験を基盤に、ビデオ教材、企業プロモーションからライブ収録、イベント映像などの放送用映像制作、そしてドキュメンタリー番組、情報番組、映画など非常に多岐にわたる映像コンテンツの企画から制作まで行なっている。

2015年 12月には MITOMO STUDIO SHIBUYA として渋谷公園通りにスタジオ・システムが移転拡張された。現在、新設した 4K/8K HDR 対応可能な編集室を含む 6 室の編集室と 2 室の MA室により、あらゆる映像制作の要望に対応可能だ。

“MITOMO STUDIO × 8K Super Hi-Vision” としてアップデートされた ED-3st (試写室兼用の 8K 編集室) では、 2K/4K/8K 信号をルーティングするため 32 系統の 12G-SDI 入力と、32 系統の 12G-SDI 出力を搭載した AJA 社の SDI ルーター製品 KUMO 3232-12G が新たに導入された。AJA 製品がもたらす 8K 編集室への課題解決と導入後の効果について、三友株式会社・技術事業部・技術3部水沼治久氏と三友株式会社映像メディア事業部山崎進氏両名にお話をうかがった。

当初の課題

AJA 正規販売店の一社である三友株式会社は、AJA 製品に関する高度な製品知識や活用方法を熟知しており、様々な映像環境への導入実績を誇る。堅固な編集室の基盤を考えた場合に、導入実績に裏付けされた AJA 製品の安定性と保証性がもたらす信頼性の高さが導入への重要な点であった。

水沼氏「8K 設備においては、まだまだ機材の選択肢は多くない状況であり、機能とコストパフォーマンス、安定性を考慮する必要があります。弊社では 8K 編集室構築の提案を行っており、MITOMO STUDIO SHIBUYA 以外でのプロダクションでも KUMO3232-12G が導入されています。」

昨今は高精細映像である 8K 編集の依頼が増加している。 MITOMO STUDIO では 8K 編集を行えると同時に、2K/4K/8K など信号フォーマットが混在する環境への要求に応えられる必要があった。

山崎氏「4K の編集時には 2K への要求も絶対に求められますし、需要もまだまだあります。12G-SDI クアッドリンクの 8K 、3G-SDI クアッドリンクの 4K/ Ultra HD など映像信号が混在した環境での対応が必要であり、KUMO3232-12G の SDI 信号のグループ化機能が有効でした。」

システム構成

MITOMO STUDIO × 8K Super Hi-Vision は試写室兼用の 8K HDR編集システムであり、2K/4K および 8K 解像度で HDR の PQ & HLG、あらゆるファイル素材フォーマットに対応し、2K、4K と同様に制限なくグレーディング、合成、スーパー入れを実現する。

8K 編集機は 3 つのシステムにて構成されている。メインシステムとなる Grass Valley 社 Rio 8K は⾮圧縮による⾼画質、⾼⾊域のハイクオリティな映像処理が可能だ。コンフォームからグレーディング、コンポジット作業に対応し、8K ベースバンド収録にも対応している。サブシステムには Apple 社 Mac Pro 2019 と HP 社 Z8 G4 で構成され、Blackmagic Design 社のソフトウェア DaVinci Resolve でカラーグレーディングを行い、2K〜8K のテロップ作成、コンポジット、サーバーインジェストなどが可能だ。

オフライン編集は、Avid Media Composer、Adobe Premiere、などのオフライン編集データを、4K、8K にて再現し、グレーディング、合成、スーパー⼊れ、HDR、SDR の両パターンを仕上げることが可能だ。

視聴環境は、8K クライアントモニターに広視野角の大型85インチ SONY BRAVIA 8K Z9H を採用し、8K フル解像度の HDR 輝度色が再現される。サウンドは 5.1chサラウンドと 22.2ch のダウンミックスによる視聴に対応。

8K Panasonic P2 レコーダー AJ-ZS0580 を導入し、リアルタイムの読み込みと書き出しや、RAW/LOG など様々な 8K データ素材の HLG または SDR 変換といった、トランスコード作業も可能だ。

12G-SDI ルーター 2 台を新たに導入

編集室には 4K/8K 信号をルーティングするために、32 系統の 12G-SDI 入力と 32 系統の 12G-SDI 出力を搭載した AJA 社の 12G SDI ルーター製品 KUMO 3232-12G が導入された。

KUMO 3232-12G は 2RU のコンパクトな筐体であり、あらゆる放送仕様に対応する 12G-SDI/6G-SDI/3G-SDI/1.5G-SDI をサポートしている。また非圧縮を含む SMPTE 準拠の規格、あるいは RAW 4K/Ultra HD 信号もサポートしている。KUMO には Salvo (一斉操作) 機能が搭載され、あらかじめ設定したソースと送出先をボタン一つで素早く呼び出すことが可能であり、ルーター毎に 8 つの設定が保存できる。

導入にあたり 8K 編集室には 2K/4K/8K 信号が混在する複数のソースのマトリックス的な操作とスイッチング操作をシンプルに行えることが必要だった。

水沼氏「12G-SDI クアッドリンクでの動作と、多チャンネルを扱える12G-SDI ルーターが要件でした。またソースと送出先を素早く呼び出す Salvo の設定数が最大 8 つまであるという点も決め手の一つでした。」

KUMO 3232-12G は 2 台導入され、1 台は 12G-SDI クアッドリンク 8K ソースの入出力ルーティングに活用され、信号を一括制御している。もう 1 台は 2K/4K の HDR/SDR 映像信号とオーディオソースの入出力ルーティングに活用されている。また KUMO 2 台は、SKAARHOJ 社のマルチパーパスコントローラー「Rack Fly Duo」により、柔軟に組み込まれた Salvo のようにリモートコントロールされる。

導入結果

KUMO 3232-12G 導入により、8K ソースの 12G-SDI 信号制御の操作を簡略化し、直感的に操作が可能となった。また 8K 編集用だけではなく、2K/4K/8K など信号フォーマットが混在した環境へ柔軟に対応することができ、試写室兼用の 8K 編集室へのアップデートを可能にした。

水沼氏「MITOMO STUDIO 4K 編集室の基盤の部分で使用されていたシステムは、そのまま変更されることなく、KUMO 3232-12G を導入し 8K編集室へとアップデートされています。」

AJA の KUMO ルーター以外にも AJA 製品は多数導入されている。メインシステムである Grass Valley 社 Rio 8K の I/O には、AJA 社の OEM 向け 8レーン PCIe 2.0 カード Corvid 88 x 4 枚で構成されている。また 2K/4K 映像確認用クライアントモニターへの信号変換にも AJA のミニコンバータが採用されている。4K から 2K への変換用には AJA 4K2HD が使用され、民生テレビへの 2K HDMI出力と、SDI モニターへの 2K SDI 出力を同時に行なっている。4K SDIから 4K HDMI の信号変換用には AJA Hi5-4K-Plus が使用され、HDMI 2.0 へ変換された信号は SONY 社 BRAVIA Z9H 85インチへと入力されている。またオーディオミキサーへの出力変換には AJA 3G-AM が使用されている。

水沼氏「8K 編集室をはじめ全ての編集室に AJA 製のコンバータが使用されています。5年前の MITOMO STUDIO 構築の際に施設された AJA 製のコンバータは現在も運用されています。」

山崎氏「AJA 製品を波形モニターを通して整合すると、ビデオ信号のカラーやレンジなど、正確に映像信号が表現されているのが分かります。映像信号のクオリティの高さや正確性、基盤に使用できる安定性に信頼があります。」

今後益々増えていく 8K やまだまだ需要が多くある 2K/4K など、あらゆる映像制作に柔軟に対応可能な MITOMO STUDIO SHUBYA の基盤には AJA 製品が活用されている。

KUMO 3232-12G について

KUMO 3232-12G ビデオルーターは、スリムでコンパクトな 2RU の筐体で 32 系統の 12G-SDI ビデオ/オーディオ入力と出力を提供します。KUMO 3232-12G は洗練された強力なウェブベースのネットワーク制御を備えており、HD はもちろんのこと、4K/UltraHD を含む 12G-SDI までのいかなる SDI ベースの信号にも対応します。

AJA Video Systems について

1993 年の創業以来、AJA Video Systems 社はプロフェッショナルな放送、ポストプロダクション業界に向けて高品質でコスト効率の高いデジタルビデオ製品を供給する、ビデオインターフェイスや変換ソリューションの大手メーカーです。 AJA 製品の設計・製造はカリフォルニア州グラスバレーにある自社の施設内で行われ、世界中のリセラーやシステムインテグレーターを通じて広範囲なチャネルに販売されています。詳細については、AJA Video Systems 社のウェブサイトをご覧ください。